特集福岡のお葬式

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2021.10.25

福岡のお盆。

写真提供:福岡市

お盆の由来

福岡のお盆は月遅れと呼ばれる8月の13日から16日までの4日間です。この時期になると先祖や亡くなった人たちが浄土から地上に帰って来るため、家庭では仏壇にお供えものをしたりお墓参りをしたりして先祖への供養を行います。お盆の明確な起源は分かっていませんが、釈迦の弟子であった目蓮が母親を極楽浄土へ行かせるために釈迦に教えを請うたのが始まりであると言われています。釈迦は7月15日に母を含めた祖先を迎い入れご馳走をふるまうよう諭し、これによって無事目蓮の母が極楽往生したことからお盆の元となる盂蘭盆会(うらぼんえ)が行われるようになったと考えられています。

福岡護国神社のみたま祭り

お盆の時期になると、福岡縣護国神社ではみたま祭りが開催されます。護国神社とは国家のために殉難した人の霊を祀る神社で、下関戦争の戦没者の霊を慰さめるために高杉晋作が発起したことからその思想は広がり、全国各地に建立されました。

福岡縣護国神社では英霊や先祖への感謝、家内安全や健康の祈願を提灯に書き灯すことが出来るため、お盆には6000灯余の提灯が境内を照らします。最近では、神楽舞や和太鼓などの奉納演芸に加えアコーステックライブや夜の蚤の市も開かれ、夏の風物詩として地域の人に親しまれています。

写真提供:福岡市

盆綱。

お盆の時期に行われる風習のひとつに盆綱と呼ばれるものがあります。綱引きは日本各地で伝承されている行事のひとつで、その意味は行われる季節や参加者、地域によって異なるため明確な起源はわかっていませんが、お盆に行われる盆綱は主に北九州を中心に広がっており先祖供養や施餓鬼の一種として受け継がれた考えられています。福岡の中でもその様式や方法、意味合いは地域により少しずつ異なりますが、いずれも地獄から先祖を引き上げるためや、霊を引き止めるためのものとされています。根っこある人の死に対する強い想いによって生まれた風習が、地元の催しとして今でも受け継がれています。

親戚で集い、お墓まいりにいき何気なく過ごしているお盆も、年を重ね大切な人の死を経験すると見え方や感じ方に変化が生まれるものかもしれません。福岡に残るお祭りや神社仏閣と共に地域に根付く心の拠り所を育んでいくことは、葬送の多様化が進む現代においてとても大切なことのように思います。